流行性角結膜炎

学校等欠席者・感染症情報システム

最近20開校(園)日の欠席者推移(単位は在籍者数1,000人あたりの欠席者数)



保健所管内別
最近10開校(園)日の流行性角結膜炎欠席者数

(在籍者数1,000人あたり)

流行性角結膜炎
  桑名 四日市市 鈴鹿 松阪 伊勢 伊賀 尾鷲 熊野
2024-11-11 0.30
2024-11-12 0.58
2024-11-13 0.53
2024-11-14 0.03 0.86
2024-11-15 0.05 0.59
2024-11-18 0.05 0.49
2024-11-19 0.59
2024-11-20 0.03 0.50
2024-11-21 0.09 0.28
2024-11-22 0.05 0.10 0.17

予防啓発用パンフレット(クリックすると別窓で開きます)

感染症発生動向調査

感染症発生動向調査による患者届出状況(定点医療機関から報告された患者報告数)
 警報レベル(赤色実線)を超えた場合、大きな流行が発生または継続していることが疑われ、注意報レベル(赤色破線)を超えた場合は、大きな流行が発生する可能性がある又は流行が終息していない可能性が疑われます。これらはあくまで流行状況の指標であり、都道府県として発令される「警報」とは異なります。
過去5年間との患者報告数の比較
本年の定点あたり患者報告数が赤色折れ線を越えているときは、過去5年間と比較して報告数がかなり多いことを示しています。(過去5年間の平均:当該週とその前後の週の計15週分の平均、SD:標準偏差)

流行性角結膜炎って、どんな病気?

1 流行性角結膜炎とは・・・?

  流行性角結膜炎は、主にD群のアデノウイルスによる感染症で、主として手を介した接触によって感染します。約1~2週間の潜伏期間を経て、急性ろ胞性結膜炎から発症します。結膜の浮腫や充血、眼瞼の浮腫が強く、流涙や眼脂を伴うほか、耳前リンパ節の腫脹と圧痛を来たします。角膜に炎症が及ぶとび慢性表層角膜症がみられ、異物感、眼痛を訴えることがあり、偽膜を伴う例も多くみられます。多くは発病後2~3週間で治癒します。
 潜伏期は8~14日で、急に発症し、眼瞼の浮腫、流涙を伴います。感染力が強いため両側が感染しやすいが、初発眼の方が症状が強く、耳前リンパ節の腫脹を伴い、角膜に炎症が及ぶと透明度が低下、混濁は数年に及ぶことがあります。時に結膜炎が出血性となり出血性結膜炎(EV70,CA24変異株による)や、咽頭結膜熱(PCF)との鑑別を要することがあります。その他、眼疾患を惹起するヘルペス、クラミジアとの鑑別が必要な場合もあります。新生児や乳幼児では偽膜性結膜炎を起こし、細菌の混合感染で角膜穿孔も起こす場合があり注意が必要です。

2 流行疫学

 以前は、を扱った眼科医や医療従事者などからの感染が多く見られましたが、現在では、職場、病院、家庭内などの人が濃密に接触する場所などでの流行的発生もみられます。アデノウイルスは、種々の物理学的条件で抵抗性が強いためその感染力が強く、19世紀後半、ドイツの労働者の間で流行したことが記載されています。その後、米国で"shipyard eye"と呼ばれる眼疾患が流行しましたが、造船所の労働者が眼の外傷治療の際、医原病的に広がったものと考えられています。
 今日、我が国では、全国的にEKCがみられますが、年度によりD群の8、19、37型のいずれかの流行となっています。まれにB群の11型、E群の4型も病因となります。感染は、眼疾患患者との接触により起こります。病院の医師、看護師、さらに職場や家庭などで、ウイルスにより汚染されたテッシュペーパー、タオル、洗面器などに触れるなどして感染します。血清学的調査で、日本の子供の8型に対する抗体保有率は20%未満、19、37型は10%程度と報告されています
 

3 予防と発生時の対策

 アデノウイルス全般について有効な薬剤はありません。対症療法的に抗炎症剤の点眼を行い、さらに角膜に炎症が及び、混濁がみられる場合は、ステロイド剤を点眼します。細菌の混合感染の可能性に対しては、抗菌剤の点眼を行います。眼疾患患者の分泌物の取扱いと処分に注意し、手洗い、消毒をきちんと行います。点眼瓶類がウイルスで汚染されないように注意し、汚染された病院内の器具類はオートクレーブで滅菌するか、アルコール、ヨード剤などで消毒します。予防の基本は接触感染予防の徹底です。

引用・参考文献

医師からの都道府県知事等への届出のための基準
流行性角結膜炎とは(国立感染症研究所)